日本のどこかにある街の様子を描いたイラスト集。 「どこかの街」のちょっとしたエピソードを藤澤がつくり、 それをもとにmiuroが一枚一枚描き起こして制作しています。 断片のエピソードとイラストをつなぐうちに、 「どこかの街」の全体像がだんだん見えてくるかもしれません。 イラストはすべて、フリー素材としてお使いいただけます。
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山あいのニュータウン。街ができて40年近く経つ。住人も老いた。小さな家の小さな庭に、犬が静かに眠っている。
学生街の片隅にある古本屋。女性が店番をしながら寡黙に本を読んでいる。若いが、佇まいから学生ではなさそうだ。この店は普段、ひょろっとした背の高い中年男性が一人でやっているが、時折こうして、アルバイトらしき女性が店番をしている。
海に近い港町。真夏の午後。路地裏に今なお残るモダンなビルの一室。日差しが強い分、影も濃い。肥料に使われる化学品を輸入する商社で、男性社員が手書きで伝票を書いている。シーリングファンの回る音だけが、静かに事務所に響いている。
海が見える坂の上の洋館。遠くに波音。夏の夕暮れ。2階の窓から弦の音色が漏れ聴こえる。弾いている人の姿は見えない。